【ニューヨーク=稲井創一】米シェール大手のノーブル・エナジーは11日、同業の米ロゼッタ・リソーシズを21億ドル(約2500億円)で買収すると発表した。原油価格の低迷で資金繰りが悪化していたロゼッタ社を、ノーブル社が実質的に吸収する。昨年来の原油安局面で初の米シェール上場企業同士の大型M&A(合併・買収)で、今後、シェール企業の再編が本格化する可能性が出てきた。
ノーブル社は全額株式交換でロゼッタ社を買収する。交換比率を基に算出した買収価格は、直近30日の株価平均に約28%上乗せした水準。ロゼッタ社の約18億ドルの負債も引き継ぎ、買収総額は約39億ドル(約4680億円)に上る見通し。
今回の買収で、ノーブル社はロゼッタ社が保有する全米屈指のシェール鉱区で知られるテキサス州のイーグルフォードとパーミアンの権益を初めて獲得する。「米国でも最も優良な2つの鉱区での権益は保有資産の質を高めてくれる」(ノーブル社のデーブ・ストーバー最高経営責任者)
ノーブル社の2015年1~3月期最終損益は2200万ドルの赤字だったが、今年3月に約10億ドルの増資を実施したことで投資余力があった。
一方、ロゼッタ社は積極的に権益を獲得したことで、14年12月期売上高は13億ドルと前年同期に比べ1.6倍に拡大した。しかし、投資が先行して昨年末の手元資金は前年末の2割以下の約3400万ドルに急減。負債は今年3月末に18億ドルに膨らんでいたところに、長引く原油価格の低迷が追い打ちをかけ資金繰りが悪化していた。
足元の原油先物相場は指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で1バレル60ドル程度まで回復しているが、ロゼッタ社と同様に厳しい状況が続いているシェール企業が多いとみられる。エクソンモービルなど石油メジャーや一部シェール大手はM&Aに関心を示している。最近は中長期の資金を運用する投資ファンドもシェール投資を積極化しており、今回の案件をきっかけにシェール再編が加速する可能性がある。