北朝鮮産マツタケを2010年、不正に輸入した事件に関与した疑いが強まったとして、京都府警と神奈川、島根、山口3県警の合同捜査本部は12日、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬議長の次男で朝鮮総連傘下企業「朝鮮特産物販売」(東京都台東区)社員の許政道容疑者(50)=東京都足立区竹の塚2=ら男3人を、外為法違反(無承認輸入)の疑いで逮捕した。
捜査本部は3月、一連の事件の関係先として許議長ら朝鮮総連幹部の自宅を家宅捜索。これに対し北朝鮮は、日本との政府間協議は「困難」になっていると通知していた。今回の逮捕で北朝鮮側が態度をさらに硬化させる可能性がある。
ほかに逮捕されたのは、同社社長、金勇作容疑者(70)=東京都八王子市散田町1=と、関連会社役員、山中和秀容疑者(63)=埼玉県草加市吉町3。
逮捕容疑は、3人は台東区の貿易会社「東方」社長の李東徹被告(61)、社員の金芳彦被告(42)=いずれも外為法違反罪などで起訴=と共謀、10年9月27日、北朝鮮産マツタケ約1800キロ(輸入申告価格約450万円)を中国経由で不正に輸入した疑い。
政道容疑者は「不当逮捕なので一切協力はしません」、金容疑者は「全然私には関係ないことです」といずれも容疑を否認している。
総連関係者などによると、朝鮮特産物販売は許議長の資金管理を担っており、政道容疑者は「金庫番」のような存在という。北朝鮮の核実験などに伴って輸入が全面禁止される06年10月より前からマツタケ輸入を手掛けており、李被告らはこの企業に勤務していた。〔共同〕