【イスタンブール=佐野彰洋】18日の欧州債券市場で、ギリシャの3年物国債の利回りが急上昇(価格は下落)し、4月下旬以来の24%台に乗せた。金融支援再開に向けた欧州連合(EU)などとの交渉が長引いていることで、ギリシャの債務返済能力への不安が高まっているためだ。
国営アテネ通信によると、チプラス首相は同日、経済団体の年次総会に出席し、交渉は「最終直線に入った」と従来の楽観論を繰り返した。目標とする5月末までの合意には依然として隔たりが大きいことを示唆した。
ギリシャ政府の財政資金はほぼ底をついており、12日が返済期限だった国際通貨基金(IMF)への7.5億ユーロ(約1020億円)はIMFの口座に預けてあった緊急準備金を取り崩して工面した。
カティメリニ紙は、この返済に先立ち、チプラス首相が欧州中央銀行(ECB)の支援なしには「期日通りの返済ができない」と警告する書簡をラガルド専務理事らに送付。債務不履行(デフォルト)寸前だったと報じている。
ギリシャ政府は5月分の年金や公務員給与支払いは可能としている。しかし、6月5日に期限を迎えるIMFへの3億ユーロ返済が不安視され、国債売りを呼んでいる。