兵庫県南あわじ市(淡路島)にある石材関連会社の砂山から古代の青銅祭器である「銅鐸(どうたく)」が7個(弥生時代前期―中期)見つかり、県教育委員会などが19日、発表した。
うち1個は紀元前2世紀ごろの最古級で、内部は長期間鳴らされてかなりすり減っていた。古代中国で占いを示す「王」と見える符号が鋳出されたものもあった。農耕などの祭祀(さいし)に使われたという初期の銅鐸の使用実態を解明する史料となりそうだ。専門家の間には「数十年に一度の大発見」との声もある。
県教委によると、破損した状態で見つかった1個を除く3組6個は、大きい銅鐸に小さい銅鐸をはめ込んだ「入れ子」の状態だった。加茂岩倉銅鐸(島根県雲南市)と同じ方法で、埋納状態を復元する手掛かりになるとしている。
銅鐸は1、2個で見つかることが多い。7個は、加茂岩倉銅鐸の39個、3カ所から計24個が見つかった大岩山銅鐸(滋賀県野洲市)、桜ケ丘銅鐸(神戸市)の14個などに次ぐという。
最古級のものは菱環鈕(りょうかんちゅう)式といい、国内では他に11個しか見つかっていない。残る6個は外縁付鈕式という2番目に古いタイプで、計測可能な銅鐸の高さは22~32センチで小型の部類だった。
7個はいずれも「聞く銅鐸」という古いタイプで、うち3個からは音を鳴らすため内部につり下げた青銅製の棒「舌(ぜつ)」が3本見つかった。銅鐸と舌が一緒に見つかるのも珍しい。舌もすり減っており、長期間祭りなどで使われたことが分かるという。
7個は4月に南あわじ市の石材関連会社の砂山から見つかった。銅鐸は市内の松帆地区の海岸部から砂ごと運ばれてきており、正確な出土地は不明。7個は松帆銅鐸と名付けられた。〔共同〕