■東京大学 香取秀俊教授と大前宣昭特任研究員らは、水銀原子を使ってきわめて精度の高い時計を開発した。特殊なレーザーで原子を微細な空間に閉じ込める「光格子時計」の技術を使った。精度は世界の標準時計のセシウム原子時計よりも高かった。
香取教授らはストロンチウム原子を使う光格子時計で、160億年に誤差が1秒という世界最高の精度を実現している。同時計は次の国際標準時計の有力候補といわれ、今回の成果は技術的な優位性を示すものだと説明している。
1秒は原子が細かく振動する性質を精密に測定することで決めている。今はセシウム原子が91億9263万1770回振動したときを1秒と定義しており、3000万年に1秒ズレる。
水銀原子は熱によって振動数がほとんど変化せず、精度を上げられると期待されていた。特殊なレーザーを安定して放射する技術を開発することで実現した。