昨年12月4日、改造内閣の集合写真撮影の際に顔に手を当てるタイ軍事政権のプラウィット副首相兼国防相=AFP時事。右腕に身につけた高級腕時計がカメラにとらえられ、騒動の発端になった
タイ軍事政権ナンバー2のプラウィット副首相兼国防相の資産隠し疑惑に関連して、国立開発行政研究院が実施した世論調査の結果が、学長の指示で非公表になった。これに反発した調査責任者が29日に抗議の辞表を提出するなど、波紋が広がっている。
プラウィット氏は、これまで撮られた写真などからリシャール・ミルやロレックスなど、少なくとも25個の高級腕時計を身につけていて、価格の総額は3950万バーツ(約1億3700万円)にのぼるとも指摘されている。いずれも資産報告書には記載されておらず、国家汚職防止委員会が調査に乗り出している。
プラウィット氏は、腕時計はすべて友人からの借り物だと発言。地元メディアによると、非公表になった世論調査では「借り物」との説明を信じるかどうかを質問し、85%が「信じられない」と答えたという。
非公表にしたことについて、学長は「汚職防止委が調査中のため」とし、軍政からの指示はなかったとしている。学長は軍政下の暫定的な国会にあたる国民立法議会の議員で、軍政への「忖度(そんたく)」とみられるが、影響を恐れた軍政からの水面下の圧力を疑う声も出ている。
辞表を提出した調査責任者は、フェイスブックを通じて「私は現政権を支持するが、不正義に対してこびるつもりはない」と表明した。(バンコク=貝瀬秋彦)