日銀が8日発表した5月の貸出・預金動向速報によると、手形と小切手を除き、譲渡性預金を含んだ預金残高は、都銀、地銀、第二地銀の合計で前年同月比4.6%増の633兆2053億円だった。1991年7月の公表開始以来過去最高の伸び率となった。とくに都銀の預金の伸び率が6.0%増と02年4月以来の高い伸びとなった。
都銀の預金は個人、法人ともに伸び率が高まった。個人預金は株価の上昇局面で利益確定売りが出たことや、賃上げによる給与の入金が増えたことが寄与した。法人では企業向け貸し出しが堅調なことに加え、6月の消費税の納税に備えた資金の入金があった。
全国の銀行(都市銀行、地方銀行、第二地銀)の貸出平均残高は2.6%増の423兆2740億円だった。企業のM&A(合併・買収)や不動産投資信託(REIT)関連の貸し出しの伸びが続いた。
内訳を業態別に見ると、都銀は1.3%増と前月から伸び率が0.3ポイント縮小した。ただ「前年に大口のM&Aがあった影響が大きく、それを除けば傾向は変わらない」(金融機構局)という。地方銀行と第二地銀を合わせた貸し出しは3.9%増、信金は2.0%増といずれも前月から0.1ポイント伸びを拡大した。信金は99年5月と並び、前年比が計算できる2001年1月の公表開始以来最も高い伸びとなった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕