【シリコンバレー=兼松雄一郎】米アップルは8日、月額9.99ドル(約1240円)で聞き放題の音楽配信サービス「アップルミュージック」を6月30日から米など100カ国以上で始めると発表した。秋からは競合の米グーグルの基本ソフト(OS)を使った端末上でも使えるようにする。個別楽曲のネット販売で独占的地位を築いたアップルは音楽業界との太いパイプを生かし、独自コンテンツを集めることで勢いを増す無料の広告付き音楽配信サービスに対抗する狙い。
アップルは定額聞き放題サービス「アップルミュージック」を発表。ファレル・ウィリアムス氏(中央右)ら多数の有名ミュージシャンを招待し、音楽業界との近さをアピールした(米サンフランシスコ市)
新サービスは音楽をダウンロードして端末に保存して聴くのではなく、曲を受信と同時に再生する「ストリーミング(逐次再生)」方式で提供する。競合のスウェーデン、スポティファイなどと同じ3千万曲以上をそろえた。3カ月間の無料の試用期間を設ける。視聴履歴などから利用者の好みをふまえ曲を推薦するが、プログラミングだけでなく音楽の専門家による曲選びも組み合わせる。曲探しには音声検索も使える。
音楽家がファンに向けて直接様々な情報を発信できる機能もつけた。スタジオの録画風景など独自の動画も配信する。サービス上に24時間放送のネットラジオ局もつくる。
アップルの音楽配信は楽曲やアルバムの個別のダウンロード販売か、広告付きでラジオのように聞き流す無料サービスしかなかった。従来のラジオ形式の無料サービスでは個別の曲を指定できなかったが、アップルミュージックでは個別の曲が選んで聞けるようにする。