日本郵政の西室泰三社長は26日の記者会見で、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社が30日に東京証券取引所に株式上場を本申請すると表明した。自民党は同日の総務会でゆうちょ銀への預入限度額引き上げを求める提言を了承した。政府の判断が今後の焦点になる。今秋の3社同時上場に向け、郵政グループの経営を巡る動きが活発になってきた。
西室社長は「3社同時上場は前例がない。着実に進めていきたい」と意気込みを語った。東証の上場審査は1~2カ月程度で終わるとみられる。8月中にも上場が承認され、早ければ10月に上場する可能性がある。
上場が近づいてきたことでゆうちょ銀の限度額引き上げを巡る綱引きも強まりそうだ。自民党は週明けにも引き上げの提言を政府に申し入れる。現在1千万円の限度額を9月末までに2千万円に、2年後には3千万円にするよう求める内容だ。
ただ全国銀行協会や全国地方銀行協会など民間金融機関8団体は26日、引き上げに反対する声明を出した。「ゆうちょ銀行と地域金融機関との共存の道が断たれる」とけん制した。政府内での検討は曲折も予想される。
西室社長は自民の提言を「規制はない方がいいので歓迎する」と述べる一方、「(9月には)間に合わないと思う」と話した。限度額1000万円を前提とした経営計画を変更する考えがないことを明言した。
ゆうちょ銀は三井住友信託銀行、野村ホールディングスの2社と個人向け資産運用会社の設立を検討している。西室社長は「方向としては決まっているが、まだ詳細は決まっていない。少し時間がかかると思う」と述べた。