【ニューヨーク=共同】米紙ニューヨーク・タイムズは29日、米自治領プエルトリコが総額約720億ドル(約8兆8千億円)に上る債務に関し返済繰り延べなどの金融支援を債権者に要請していると報じた。
アレハンドロ・ガルシア知事はインタビューで「債務を支払うことはできない」と述べ、返済のやりくりは限界に来ていると強調。ヘッジファンドら債権者と「痛みを分かち合う」とし、返済条件の緩和などを求める考えを示した。
プエルトリコ債は既に格付け会社から投機的水準とされているが、高い利回りを求める、主に米国の投資信託会社などが投資しているという。
米国ではミシガン州デトロイト市が2013年に財政破綻した例がある。一方、米自治領には連邦破産法の適用が認められていないため、仮にデフォルト(債務不履行)すれば債務減免などをめぐる手続きが複雑になり混乱も予想される。
同紙によると、債権者らとの協議は既に一部で進行中という。
プエルトリコは経済の低迷で債務が積み上がり年金削減などに取り組んできた。金融関係者の間では「米国のギリシャ」とも呼ばれ、長らく財政状況が不安視されている。