江崎グリコ(大阪市)創業者の孫の女性が、十分な説明もなく保有していた同社株を大量に売却され損害を受けたとして、野村証券を相手取り、約4億2千万円の賠償を求める訴訟を起こした。21日に初弁論が大阪地裁(森田浩美裁判長)であり、野村証券側は争う姿勢を示した。
原告は兵庫県西宮市在住の70歳代の女性。訴状によると、江崎グリコ創業者の祖父、江崎利一(りいち)さんや父誠一さんが亡くなった際に約44万7千株(総額約26億円相当)を相続し、配当金で生計を立ててきたという。
2015年、野村証券の担当者は相続税対策などとして、株を売って外国債券や投資信託に乗り換えるよう勧誘。約8カ月の間に保有株の87%にあたる38万9千株を担当者が売却し、投信などを購入した。親族が売買に気付いて解約・売却したが、約4億2千万円の損失が発生したという。
女性側は損失発生の可能性について説明はなかったと主張。高齢者の判断力不足につけ込んだ違法な行為だとして、売却で生じた損害の賠償を求めた。
初弁論で野村証券側は説明義務違反があったかどうかについて争う姿勢を示した。同社広報担当者は「個別事案につきコメントは差し控えます」としている。(大貫聡子)