【ニューヨーク=稲井創一】米国でシェールオイルの生産に使用する装置(リグ)の稼働数が約7カ月ぶりに増加した。原油相場の持ち直しに伴い、シェール企業が進めてきた新規投資の抑制に歯止めがかかりつつあるもよう。技術革新で油田の生産性も向上しており、米シェールの生産調整が短期間で終わる可能性も出てきた。
米石油サービス会社、ベーカー・ヒューズが2日発表した米石油生産のリグ数は640基と、前週末に比べ12基増加した。リグ数は昨年12月以降、減少が続いてきたが、小幅ながら増加に転じた。鉱区ではテキサス州のイーグルフォードやパーミアンなどで増加した。
昨年からの原油価格の下落局面で、シェール企業は現金確保を優先するため新規投資を抑え、既存の油井で最大限生産する戦略を進めた。
リグの減少については「歴史的にピークから下限まで4分の3(75%)に相当するリグが減る」(石油サービス会社ハリバートンのジェフ・ミラー社長)との見方があった。足元の640基はピークの約4割に相当する。この水準で下げ止まるようなら、予想より早いとの見方ができそうだ。
3月に1バレル40ドル台だった原油先物のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が5月以降、1バレル60ドル前後で推移している。掘削日数の短縮などのコスト削減を進めてきたシェール企業の中には、鉱区によっては採算がとれる企業が増えてきているようだ。実際、ドライブシーズンに入り原油需要が増える季節にもかかわらず、6月26日時点の米原油在庫は予想に反して増加。強気の生産を続けるシェール企業があることがうかがえる。