【ブリュッセル=森本学】ユーロ圏19カ国は14日、ブリュッセルで臨時の財務相会合を開き、財政危機に直面しているギリシャへの新たな金融支援策を正式決定した。3年間で最大860億ユーロ(約11兆9千億円)を支援する。週明けにもドイツなどの議会承認を経て、第1弾として約130億ユーロを20日までに融資する。ギリシャの財政破綻はひとまず回避できる見通しが強まった。
ギリシャは20日に欧州中央銀行(ECB)に対し、国債32億ユーロを償還する期限を迎える。自力での資金調達は困難な情勢で、それまでに新たな金融支援に基づく融資を受けられるかが焦点となっていた。
財務相会合では、ギリシャへの金融支援の条件を定めた覚書を協議し、正式に承認した。覚書では、ギリシャに対し、16年に基礎的財政収支を黒字化し、18年には国内総生産(GDP)に対する黒字の比率を3.5%まで段階的に改善することを求めた。
金融支援のうち、約250億ユーロはギリシャの銀行の資本増強などに充てる。7月のユーロ圏首脳会義でギリシャの国有施設の民営化を加速するために創設が決まっていた民営化ファンドを巡っては、15年末までに設立することで決着した。
ギリシャの債務負担の軽減策は今回は議論を先送りした。10月をめどにギリシャの債務が持続可能かどうかを再点検し、改めて金利減免などの必要性を協議する方向だ。