【ワシントン＝芦塚智子】アーネスト米大統領報道官は８日の記者会見で、シリアなどから欧州に多数の難民が流入している問題について「解決に貢献するため様々な対応を積極的に検討している」と表明した。具体策については言及を避けた。人権団体などからは、米政府が難民の積極的な受け入れを表明していないことについて批判の声も出ている。

アーネスト氏は、米国はシリア難民のために多額の人道支援を実施してきたと強調。「状況が悪化しているため、米国は引き続き追加措置を検討する」と述べた。

国務省のカービー報道官は同日の記者会見で、対応は決定していないとした上で「難民の再定住は真剣に検討している」と説明した。テロリストなどの潜入を防ぐため、適切な審査手続きも重要だと指摘した。カービー氏によると、米国が受け入れるシリア難民は今月末までに約1800人になる見通し。

米国は毎会計年度に世界各国から受け入れる難民数の上限を定めており、2015会計年度（14年10月～15年９月）は７万人だった。10月１日に始まる16会計年度の上限について、前年度を上回る水準にするよう求める声が出ている。