北海道新幹線の開業日が2016年3月26日に決まり、道南では本州方面からの利用客を受け入れる沿線地域の取り組みが一段と活発になりそうだ。自治体や経済団体は首都圏や北関東・東北地方への観光PRを強化。観光客の増加を見据えたホテル建設の動きも出てきた。ただ、運行本数には不満の声も聞かれ、貨物列車との共用走行や並行在来線の利用促進などの課題も抱える。
「北海道新幹線開業まで192日」。16日、北海道旅客鉄道(JR北海道)の発表を受け、道庁や地元自治体は庁舎などに掲げていた開業日までの日数を「(年度末から数えて)遅くても197日」から正式な日数へと変更した。
地元自治体などは首都圏のほか、大宮以北の北関東・南東北の新幹線沿線地域へ観光PRを広げている。11月に仙台市で開く食のイベント「函館・みなみ北海道グルメパークin仙台」など、来春の新幹線開業に向けて各地でキャンペーン活動を一段と強化する。
新函館北斗駅前では、地元経済界が約100室のホテルを中心とする複合施設の建設を発表。函館駅近くでも200室以上の大型ホテルの建設計画が明らかになった。
ただ東京―新函館北斗間の運転本数が1日10往復となることには「1時間ごとの運行で14往復を期待していたのだが」といった不満も出ている。
JR北海道などは所要時間や停車駅パターンの発表を見送った。貨物列車との共用走行区間を経由するだけに、同社の島田修社長は「北海道にとって物流の持つ使命を十分認識し、かつ新幹線開業効果が発揮できるようまさに調整中だ」と説明した。
来春の北海道新幹線開業と同時に、江差線の五稜郭―木古内間は第三セクターの「道南いさりび鉄道」に移行する。沿線人口の減少が進むなか、鉄道路線を維持していくためには観光利用の促進など利用者数の下支え策がカギを握る。