東北6県の2014年の新設法人数が、11年の東日本大震災後初めて減少に転じた。東京商工リサーチの調査で13年比2%減の5329社となった。東北は復興需要を受けて建設業などの法人設立が急増していたが、一服感が出た格好。それでも震災前の10年の件数を4割上回るなど、高水準の起業が続いている。
同社が企業データベースの398万社を対象に新設法人数を調査した。
6県のうち減少したのは青森、岩手、宮城、福島の4県。岩手は7%減の594社と最も減少率が大きく、福島は4%減の1387社、青森は2%減の554社、宮城は1%減の1905社となった。「4県の中でも特に被災沿岸部の減少が顕著で、復興需要の一服感が浮き彫りになっている」(同社)という。
太平洋側の各県が減ったのと対照的に、日本海側の秋田は11%増の428社、山形も2%増の461社だった。
産業別(全10産業)にみると、震災直後に法人設立が相次いだ建設業の増加ペースが鈍化。14年は前年比9%増の1109社とプラスは維持したものの、16%増となった11年や、42%の高い伸びをみせた12年からは増加率が縮小している。
NPO法人など復興支援団体の設立がピークを過ぎたこともあって「サービス業他」も8%減の2187社となった。件数は少ないものの、株高などを背景に金融・保険業は24%増の107社となっている。
同社は今後の見通しについて「被災3県を中心に復興需要の減退で減少傾向は続く」と指摘しながらも「全国的にみると法人設立は増加傾向にあり、東北もいずれは増加に転じるだろう」とみている。