【アテネ=佐野彰洋】 ギリシャで20日、総選挙の投票が実施された。開票率約30%時点の同国内務省公式推計によると、与党・急進左派連合(SYRIZA)が最多の得票率35.5%で、勝利を確実にした。予想獲得議席数は145と、1月の前回総選挙で得た149から微減にとどまる。
勝利を確実にし、支持者に笑顔で手を振る急進左派連合党首のチプラス前首相(20日、アテネ)=AP
SYRIZAを率いるチプラス前首相は「4年間闘う明確な信任を得た」と支持者を前に勝利宣言した。新政権の枠組みを巡っては、右派の小政党「独立ギリシャ人」との連立を維持する考えを示したが、同党以外の政党と新たに協議する可能性については言及しなかった。
ギリシャ議会は一院制で、定数300を比例代表制で争う。得票率で第1位の政党には無条件で50議席を与える仕組みがある。
一部の世論調査で一時SYRIZAを逆転するなど、躍進が期待された最大野党・新民主主義党(ND)は改選前並みの75議席前後にとどまる見通し。同党のメイマラキス党首は記者団に対し「チプラス氏の勝利を祝福する」と述べ、敗北を認めた。第3党は移民排斥などを掲げる極右「黄金の夜明け」となる見通し。
SYRIZAは前回総選挙で債務返済に必要な緊縮策の拒否を公約し、初めて政権に就いた。しかし、その後、欧州連合(EU)からの金融支援と引き換えに公約を撤回。緊縮策を受け入れた経緯がある。交渉を主導したチプラス氏が「国民に信を問う」ため、議会の解散と総選挙のやり直しを決断した。