【ウィーン=共同】お母さま、お許しください。愛には逆らえませんでした――。1889年にオーストリア・ハンガリー二重帝国のルドルフ皇太子と心中した男爵令嬢、マリ・ベツェラの遺書がウィーンの銀行で見つかり、オーストリア国立図書館がこのほど発表した。
当時、ルドルフは既婚で、2人の交際に皇帝フランツ・ヨーゼフ1世が強く反対。皇帝がルドルフとベツェラを暗殺させたとする陰謀説もささやかれていた。悲恋話はクロード・アネの小説「うたかたの恋」に描かれ、宝塚歌劇団も舞台化している。
当時30歳だったルドルフはウィーン近郊で銃を使い、17歳のベツェラと心中。銀行から遺書を貸与された国立図書館は「今回の発見で陰謀説などの疑問はすべて払拭されるだろう」としている。
遺書は今年、銀行が保管文書を整理していた際に、1926年に預けられた茶色の革製の書類入れから発見。ベツェラの母親と弟、姉宛てに3通あり「ルドルフも同じ思いですが、一緒に埋葬してください」「生きるより死んだ方が幸せ」などとしたためられていた。