日銀の白井さゆり審議委員は25日、松江市内で講演し、目標である物価2%上昇の実現に近づく時期について「2016年度末から17年度初めごろ」になると語った。日銀は10月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で2%の達成時期を「16年度後半ごろ」と半年先送りしたばかり。委員は日銀内により慎重な見方があることを示した。
日銀は物価2%を安定的に持続できるまで、現在の異次元緩和政策を続けると約束している。白井委員はこの時期について「もう少し長いスパン(期間)で判断していく必要がある」と語った。白井委員が物価見通しに慎重なのは、人々の物価上昇予想が高まっていくには「時間が掛かる」とみているためだという。
金融政策については、企業収益の改善などを理由に、現在の金融緩和を維持することが重要との考えを示した。エネルギーを除く幅広い分野で物価が上がっており「デフレに逆戻りするリスクは低い」とも述べた。