【フランクフルト=加藤貴行】独フォルクスワーゲン(VW)の地盤である西欧市場で、排ガス不正による販売面の影響が続いている。英調査会社LMCオートモーティブがまとめた西欧主要5カ国の11月の乗用車販売台数によると、VWブランドは前年同月比0.8%減の9万8900台となり、11.8%増と好調だった市場全体の傾向から取り残された。VWの主要5ブランド合計でも1%増にとどまった。
LMCが独英仏イタリア、スペインの自動車工業会などの統計をもとに調べた。11月の5カ国合計は81万7300台。11月初旬には新たに二酸化炭素(CO2)排出量の不正も発覚した。ただ、全体が伸びた影響もあり、VWブランドは10月の2.7%減より減少率は小幅だった。
他の4ブランドは大衆車のセアトが2.7%減に対し、シュコダが7.1%増と回復した。また高級車のアウディが3.2%増、ポルシェが1.6%増となった。10月5ブランド合計は2.5%減だったのに対し、11月はアウディなどが支えグループ全体はプラスに戻った。
主力のVWブランドは国によってばらつきがみられる。英国は2割減と大きく落ち込んだのに対し、ドイツは2%減にとどまり、フランスは1.2%増えた。米国の11月でも2割以上の落ち込みになったが、欧州大陸側は不正の影響がそれほど出ていない。