【ストックホルム=安藤淳】大村智・北里大特別栄誉教授は6日、ストックホルムのカロリンスカ研究所で記者会見した。若い頃、先輩から「ストックホルムへの道を歩け」と言われた思い出を披露。「アフリカの病気の撲滅など良いことができたが、ノーベル賞をとれるとは思っていなかった」と感慨深げに話した。
大村さんは土壌細菌の一つである放線菌から、寄生虫が起こす熱帯病の治療薬に使える物質を作り出すものを見つけた。会見では「(米製薬大手)メルクで研究していたウィリアム・キャンベルさんのチームとの仕事がうまくいった。どちらが欠けていてもできなかった」と振り返った。
生理学・医学賞を共同受賞するキャンベルさんもともに会見し、「私はあくまで研究チームの代表。貢献した多くの人の名前が出ないのは悲しい」と語った。
キャンベルさんについて大村さんは「科学で優れているだけでなく素晴らしい絵も描き、話が合う」と語った。2人は久々に再会したが「絵や芸術の話ばかりしている」(キャンベルさん)という。
会見後、大村さんは記者団に「薬は企業とでなければ開発できないという信念を持っていた」と産学連携の重要性を指摘。若手へのメッセージを求められ「新しいことに挑戦してほしい。失敗は多いが将来の宝になる」と強調した。