西日本旅客鉄道(JR西日本)は海外の鉄道事業に本格参入する。インフラの海外展開を支援する官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)と9日、ブラジルの都市交通事業に出資すると正式発表した。JR西日本は技術者を派遣し、鉄道の安全・安定輸送を支援する。
JR西は少子高齢化で沿線人口が減少する中、人口増を背景に鉄道網の整備が増える新興国の成長力を取りこむ考えだ。
三井物産が全額出資するガラナアーバンモビリティの株式をJR西が33.9%、JOINは16.0%を取得する。取得額はJR西が80億円程度とみられ、JOINは41億円。ガラナ社が出資する鉄道会社はリオデジャネイロ州で近郊鉄道を運行するほか、2021年にサンパウロ地下鉄6号線、その後も2つの次世代型路面電車を開業予定だ。
ブラジルでは16年のリオデジャネイロ五輪を控えて旅客需要が見込まれる半面、事故や遅延が多く、輸送力向上が課題になっている。JR西は技術者を派遣し、運行や保線、車両の保守などで支援する。台湾新幹線の開発支援などを手掛けたが、海外の鉄道会社への出資は初めてとなる。