厚生労働省OBが理事長を務める一般財団法人「長寿社会開発センター」(東京)が4月に刊行した「介護職員初任者研修テキスト」第2版に、少なくとも234カ所の誤記載があることが16日までに分かった。外部からの指摘もあり、介護に影響を与えかねない誤りなど約50カ所については、10月に正誤表を作成し配布している。
テキストはヘルパー2級に代わってできた「介護職員初任者」の資格を取るためのもの。介助の手順を説明する際に半身まひの左右を逆にしたり、誤えん防止に関するイラストを間違えたりしていた。専門家は「小さいミスが多いが、中には深刻な誤りがある」と指摘する。
大学教授や専門家らが執筆者となり2013年にテキストを出版。改正介護保険法の今年4月の施行に合わせて第2版(約1300ページ)を作成し、6995円で約8千部販売した。
同法人出版管理部の高田俊道部長は「制度改正に合わせ急いで作業してしまった。申し訳ない。見直しを進める」と話し、修正版を16年1月にも発行すると説明した。
同法人は、4月以降に刊行した「介護福祉士養成実務者研修テキスト」と「介護支援専門員基本テキスト」でも、それぞれ約80カ所と約30カ所の正誤表を出している。これ以外にも誤っている可能性があり今後確認するという。
資格取得のための講習を実施する研修事業者は「大丈夫という安心感があった。実際に介護に当たっている人も読んでいて影響は大きい」と話した。〔共同〕