国や地域の生産性の高さの目安となる「1人当たり名目国内総生産(GDP)」で、日本が2014年に香港やイスラエルに初めて抜かれたことがわかった。先進国が加盟する経済協力開発機構(OECD)の34カ国に限ると20位で、順位は遡れる1970年以来の最低に転落した。各国・地域のGDPをドルに換算して比べるため、円安・ドル高も響いている。
内閣府が25日発表した14年の国民経済計算確報で判明した。日本の1人当たり名目GDPは3万6230ドルとなり、前年から6.0%減った。前年を下回るのは2年連続。円建てのGDPは増えたものの、円の対ドル相場が7.8%下落したため「ドルで付加価値を生む力」が目減りした。
日本は主要7カ国(G7)ではイタリアをわずかに上回る6位だったが、世界銀行などの統計によるとかつてアジア新興工業経済群(NIES)と呼ばれたシンガポールと香港より下に位置する。後ろからはBRICs諸国が迫る。中国は8千ドルだが、成長が鈍るなかで8.6%伸びた。
日本の1人当たりGDPを円建てで見ると14年度は385万3千円と、前年度より1.7%増えた。人口が0.2%減る一方で、総額が1.5%増えたため、3年続けてのプラスとなった。額は金融危機前の2007年度(400万8千円)以来の水準に高まった。
所得のうちどれだけ貯蓄に回したかを示す家計貯蓄率は14年度にプラス0.1%と5年ぶりに前年を上回った。女性や高齢者など働く人が増えて国民全体の所得が膨らんだ。消費増税前の駆け込みの反動で消費は前年度より大きく減り、貯蓄に回せるお金が増えた。
13年度はマイナス1.3%と、比べられる95年度以来初のマイナス圏に低下した。14年度はわずかなプラスに戻ったが、高齢化が進むと貯蓄を崩して消費に回すため「大きな流れとしては低下傾向にある」(内閣府)。