【イスタンブール=佐野彰洋】欧州債務危機の震源地となったギリシャは2015年12月、ユーロ圏の金融支援を受け、四大銀行の資本増強を完了させた。各行の経営破綻懸念はひとまず遠のいた。1日から始まる「銀行同盟」の拡充をにらみ、ユーロ圏各国は資本増強の年内完了を強く求めていた。
四大銀行に対する資本増強は、過去の金融支援時にも行われていた。だが15年1月に「反緊縮」を掲げたチプラス政権が発足して以降、多額の預金が流出。経済の混乱で不良債権も増えた。欧州中央銀行(ECB)は10月末、四大銀に144億ユーロ(約1兆9千億円)の資本不足を指摘していた。
各行は新株の発行などを通じ民間投資家から資金を募り、最終的にユーロ圏の資金を注入したのはナショナル銀とピレウス銀の2行計54億ユーロにとどまった。ただ危機のさなかに導入した預金引き出しを制限する資本規制の解除など金融システムと経済の正常化にはなお時間を要する。