2015年に国内で生まれた日本人の赤ちゃんは、統計を始めた1899年以降最低だった前年を4千人上回る100万8千人で、5年ぶりに増加に転じたとみられることが31日、厚生労働省の人口動態統計の年間推計で分かった。死亡数は130万2千人と戦後最多を更新しており、人口減少は続いている。
同省によると30代の出産数が前年より増えており、「雇用状況の改善に加え、保育所の整備などの子育て支援策が影響している可能性がある」(担当者)とみている。
年間推計は10月までの速報値などを用いて算出する。死亡数は前年比2万9千人増の130万2千人と戦後最多を更新した。出生数が死亡数を下回る「自然減」は29万4千人で、前年を2万5千人上回って減少幅は過去最大となった。自然減は9年連続。
わずかながら増加に転じた出生数も過去2番目に少なく、同省は「少子高齢化の傾向は続いており、しばらくは人口は減っていくだろう」としている。
15年の死因の最多はがんの37万人。次いで心筋梗塞などの心疾患(19万9千人)、肺炎(12万3千人)、脳卒中などの脳血管疾患(11万3千人)と続いた。死因上位の4疾患は5年連続で順位に変化が無く、死者数の約6割を占めた。死産は2万3千人で前年比千人減った。
婚姻件数は同9千組減の63万5千組で戦後最少を更新した。婚姻件数は年間100万組を超えた1970年代前半をピークに、その後は一貫して減少傾向が続いている。厚労省は「結婚適齢期の人口が減っているため」としている。
一方、離婚件数は22万5千組で、前年より3千組増えた。02年に28万9836組で過去最多になって以降は減少傾向にあったが、15年は6年ぶりに微増した。
▼人口動態統計 出生、死亡、婚姻、離婚、死産の5つについて戸籍法などに基づく市区町村への届け出を厚生労働省が毎月集計する。調査した月の約2カ月後に公表する「速報」と約5カ月後の「概数」のほか、1~12月の1年分が翌年9月に「確定数」としてまとめられる。年間推計は10月までの速報と7月までの概数を基に、11~12月分を予測して算出する。