与野党は6日、衆院本会議での代表質問に入り、国会論戦が幕を開けた。一億総活躍社会の実現による成長底上げを目的にした2015年度補正予算案を巡り、民主党の岡田克也代表ら野党は選挙対策の「バラマキ」と批判。安倍晋三首相は経済の下支えなどと野党に反論した。経済政策を中心に、今夏の参院選をにらんで与野党が冒頭から対決色を強めた。
「国民の税金を使ったバラマキの選挙対策だ。ここまで政治が劣化してしまったのか」。補正予算案で岡田氏が「最も疑問」として真っ先に取り上げたのが、所得の低い高齢者への1人当たり3万円の臨時給付金だ。
同給付金は1100万人が対象で、合計3600億円が補正予算案に計上された。首相は高齢者は賃上げの恩恵を受けにくいと指摘し「今年前半にかけての個人消費の下支えを行い、経済の下ぶれリスクに対応する」と力説。「選挙対策という批判は的外れだ」と反論した。
補正予算案でもう一つの論点となったのが、約3400億円の環太平洋経済連携協定(TPP)関連予算で、940億円の土地改良事業などが含まれる。岡田氏は「協定の是非が議論されないまま補正予算が先行するのは違和感がある」と指摘。維新の党の松野頼久代表も「公共事業と補助金が中心」と追及した。首相は「攻めの農林水産業への転換に必要な経費」と説明する一方で、協定案の徹底した審議には応じる考えを示した。
冒頭から論戦のボルテージが上がったのは、夏の参院選を意識してのこと。今国会の会期は6月1日までだが、実質的な審議は5月26、27両日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)前に終わる可能性がある。4月下旬には衆院北海道5区の補欠選挙もあり、見せ場は限られている。
「ただ反対と声をそろえるだけなら簡単だ」。首相は岡田氏への答弁で挑発的な言いぶりも。岡田氏は本会議後、記者団に「(首相は)もう少し上品に言われた方がいい」と述べた。