2015年の新車販売台数は4年ぶりの前年割れとなった。軽自動車税の増税の影響が大きく、自動車販売会社の業界団体が8日発表した15年の車名別新車販売台数では14年に首位だったダイハツ工業の軽「タント」が3位に後退。トップにはトヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HV)「アクア」が2年ぶりに返り咲いた。好調だった輸入車もマイナスに転じるなど、縮む市場では勢力図に変化も起きている。
15年のタントの販売台数は14年比32.7%減。ランキング上位に入った軽ではスズキの「ワゴンR」も38.4%の前年割れとなり、日産自動車の「デイズ」やダイハツの「ムーヴ」もマイナス幅は2桁に達した。上位10位までで14年実績を上回ったのはホンダの「N―BOX」だけだった。
好調だった輸入車販売も6年ぶりのマイナス。日本自動車輸入組合(JAIA)が8日発表した15年の輸入車(日本メーカー車除く)販売台数は14年比1.6%減の28万5496台だった。
年間30万台の目標を掲げていたものの、秋以降に売れ行きが失速。12月単月では14年12月比で13.7%減だった。手ごろな価格の量販モデルの販売一巡に加え、フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題も影を落とし、ヤナセの井出健義社長は「様子見をする顧客が増え、商談に時間がかかり始めた」と話す。
ブランド別の年間販売台数ではメルセデス・ベンツが16年ぶりにVWから首位を奪取。販売台数は7.1%増の6万5162台となり、3年連続で過去最高を更新した。
縮む市場で気を吐いたのはディーゼルエンジン車だ。15年のディーゼル車(乗用車)の販売台数は15万3592台と14年比でほぼ倍増し、1996年以降で最高だった。
小型車「デミオ」のディーゼルモデルやディーゼル車のみのSUV(多目的スポーツ車)「CX―3」などマツダの車の販売が伸びたほか、メルセデスなどが投入した輸入車のディーゼルモデルも好調だった。米国などで発覚したVWの排ガス不正問題はディーゼル車が対象だったものの、国内での売れ行きに影響は少なかった。