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子どもの絵は「上手」じゃなくていい 絵本作家から

作者:佚名  来源:asahi.com   更新:2016-4-18 8:48:29  点击:  切换到繁體中文

 

写真・図版


つつみあれいさん


■絵本作家・つつみあれいさん


「絵は教わるな」が抽象画家の父の口癖でした。だから一度も絵画教室や美術部、美大など専門的な教育は受けていません。


絵本の特集「たぬき書房」


父のアトリエは入室禁止。唯一、絵の具の材料の雲母を近くの浜辺で一緒にすくいとり、にかわを煮詰めて混ぜて絵の具を作る作業は見せてくれた。それを眺めるのが好きでした。


勉強は苦手でした。原因は空想好き。授業中も、下校中も、「この世に色が3色しかなかったら、他の色はどう作る?」「もし私がアリだったら?」と、考え始め、気がつくと1時間はたっていました。それをしないと自分じゃないみたいだったのです。それは今も変わりません(笑)。


空想は、いつも物語になり、大抵ナンセンスな内容に。ちょっぴり怖かったり、ぞっとしたり。家にあって何度も読んでいたマザーグースの絵本全集の影響だと思います。


短大を卒業後、花屋さんで働き始めました。同じ頃ガーデンデザイナーの夫と出会い、結婚。絵本作家になりたいと思うようになり、県内にある子どもの本専門店「メリーゴーランド」主宰の絵本塾に参加しました。


苦労しましたが、2年でデビューが決まり、「ピーナッちゃんとドーナッちゃん」(小峰書店)を出版しました。自然とナンセンス絵本を作っていました。文章も韻を踏んでいます。


3月に、洞穴で一人暮らしをする女の子が主人公の「カペリーちゃん」を出版しました。カペリーちゃんが病気になった友達のクジャクのために、治療法を探して困難に立ち向かっていくお話です。


多くの大人は、「この子は妖精なの?」「なぜ一人で住んでるの?」などと、説明を求めがちです。でも、現実ではない世界観の中で、子どもにとって自由に感じる絵本を作りたいと思い、説明はあえてしませんでした。


小4と中1の子どもを育てています。住んでいる津市を拠点に、5年ほど前から、依頼を受けて県内の小学校で一緒に絵を描いたり、美術館で子どもたちとスケッチをしたりしています。


黒い絵ばかりを描く男児を先生は「何か普通の子とは違う。大丈夫かしら」と心配されていた。でも、私は「君の絵は最高にかっこいい! 黒は、あなたがかっこいいって知っている色なんだよ」と彼に言うとうれしそうにうなずき、黒い絵を堂々と楽しそうに描くようになりました。


美術館の模写でも、子どもたちは、ミロやピカソの作品の前で、「これ、なんか変かも」「おもしろいなぁ~」とぶつぶつ言いながら描いていく。私には、巨匠も「ほほー。その足の部分の線は、そっちの方がかっこいいねぇ」などと話しかけ、対話しながら描いているように見えます。


子どもたちの表現に、「上手」を求めすぎてはいないでしょうか。心にぐっとくる、彼らが感じたままの自由な感性を大切にするような「うまい」表現を育てていければいいのになと思います。みんなそれぞれ違ってステキなのですから。


そうはいっても、私も親ですから子の将来を心配する気持ちもわかります。ハラハラしたり、こうあって欲しいと思ったりするでしょう。だから、子どもが自分の願望と違うことをしたとき、「へぇ、面白いねぇ」って面白がります。褒めることが難しい時は、面白がってみませんか。



1973年、三重県生まれ。作品は「ドーナッちゃんとモンブラリン」「ピーナッくんのたんじょうび」「みっけちゃん」など。




 

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