元暴力団組長の矢野治死刑囚(67)が20年前に別の殺人事件に関与したと警視庁に告白したことを受け、警視庁と神奈川県警は19日、神奈川県伊勢原市の山中を捜索し、遺体を発見した。矢野死刑囚の指示を受けたという男が不動産業の男性の遺体を遺棄した、と話しており、警視庁などが身元の特定を進める。
捜索したのは、小田急線伊勢原駅から北西約7キロの山中。午前10時前から、捜査員らが林道脇の雑木林にブルーシートを張って作業を開始。午後2時ごろ、林道沿いの斜面の地中から、シャツとズボンを着用した性別不明の遺体を見つけた。ほぼ白骨化していたという。
捜査関係者によると、矢野死刑囚は、東京都内で不動産業をしていた男性の殺害に関与したとの文書計2通を昨年5月と6月に警視庁に送付。知人の男に遺体の遺棄を指示したことも明かした。この男から警視庁が任意で話を聴いたところ、内容を認めたうえで、遺棄した具体的な場所を供述したという。
関係者によると、不動産業の男性は伊勢原駅前の土地を巡って別の暴力団関係者とトラブルになり、1996年8月から行方が分からなくなっているという。供述通り遺体が見つかったことから、遺体はこの男性の可能性が高い、と警視庁はみている。今後、神奈川県警とともに、遺体を司法解剖して死因の解明を進め、殺害を裏付けられるかどうかを調べる。