新エンブレム決定までの経緯
佐野研二郎氏デザインの旧エンブレムを白紙撤回してから約8カ月。2020年東京五輪・パラリンピックのエンブレムが25日、作品Aの「組市松紋(くみいちまつもん)」に決まった。選考が閉鎖的と批判された前回の反省から、大会組織委員会は「参画」と「透明性」をテーマに掲げ、最終候補4作品を公開して意見を募る五輪史上初の手続きも取った。エンブレム委員会の宮田亮平委員長は「公明正大と胸を張って言える」と話した。
エンブレム問題をまとめ読み
東京五輪エンブレム、最終候補4作品を公開 25日審査
エンブレム委では冒頭、延べ4万1516人の意見を集約したリポートが委員に示された。意見の傾向は作品B~Dが「ポジティブな意見が多数」または「大多数」だったが、作品Aは「ポジティブな意見とネガティブな意見があった」とのまとめだった。肯定的な意見は「日本らしさを感じる」「伝統を感じる」などで、否定的な意見は「地味」「躍動感を感じない」など。他作品と比べ「日本らしい・東京らしい」との印象が目立って高かった。
エンブレム委は開かれた選考の仕方を決める議論の中でインターネットなどを使って国民から投票してもらう方式も検討したが、1人1票の公正さを担保することが難しいとして断念。意見は「委員の選考の参考にするためで、国民投票にはしない」と位置づけており、作品別の件数は明かしていない。エンブレム委員の王貞治・プロ野球ソフトバンク会長は「最終的に自分の権利、責任を踏まえ、投票した」と話した。