男子100メートル予選のレース後、悔しい表情を見せるケンブリッジ飛鳥=池田良撮影
日本時間の5日未明、ロンドンであった陸上の世界選手権男子100メートル予選で後半の伸びを欠きながら、10秒21のタイムで拾われ、準決勝に進んだケンブリッジ飛鳥(ナイキ)。「いまいち」と振り返ったように、自己ベストの10秒08に及ばず、実力を出し切れなかった。6日未明の準決勝は、昨夏のリオデジャネイロ五輪銀メダルのジャスティン・ガトリン(米)と同じ1組。切り替えて臨む。
男子100m、日本勢3人が準決勝へ 世界陸上
ケンブリッジにとって、準決勝は是が非でも乗り越えたい壁だ。昨年の日本選手権で、自身より実績があった桐生祥秀(東洋大)、山県亮太(セイコー)らを抑えて初優勝。しかし、日本王者として臨んだリオ五輪では、その準決勝で世界との差を思い知らされた。
隣のレーンだったガトリンを意識するあまり、動きが硬くなり、屈辱の最下位で敗退。だから今季は、自分に言い聞かせるように、何度もこう繰り返した。「去年(リオ五輪)は決勝にいくという目標を達成できなかった。今年こそという思いは強い」
不安材料を挙げるとすれば、今年6月の日本選手権決勝で痛めた右足太もも裏の状態だ。症状は軽かったというが、10日ほど練習ができなかったという。31日の公開練習では「(状態は)100%」とし、4日の予選後も「足の状態は悪くない」と、影響は打ち消している。
父はジャマイカ出身。ケンブリッジ自身はジャマイカ生まれ日本育ちだが、今大会限りで引退するジャマイカの英雄、ウサイン・ボルトには強い憧れを抱く。準決勝の壁を越えない限り、一緒に走ることはもうなくなる。「今回が最後のチャンス。しっかりと走りたい」(遠田寛生)