4年前に兵庫県内の海で水死した男性(当時46)をめぐり、その死が事件か事故かが争われた死亡保険金請求訴訟の控訴審判決が25日、大阪高裁であった。中村哲(さとし)裁判長は、男性が働いていた大阪府守口市の建設会社の代表らが故意に死なせたと推認できるとして、一審と同じく建設会社による1億円の保険金請求の訴えを棄却。「他殺の疑い」を理由に支払いを拒む損保会社の対応を支持した。
高裁判決によると、建設会社は2011年6月、男性の死亡保険金を1億円とし、会社を受取人とする契約を大手損保会社と締結。男性は12年3月、知人と夜釣りに行った兵庫県播磨町の岩場付近の海で浮いているのが見つかり、病院で水死と確認された。会社は保険金を請求したが、経緯に不審を抱いた損保側が支払いを拒んだため提訴した。
高裁判決は、司法解剖の結果などから、男性が何者かに頭を押しつけられた形跡があると昨年3月の一審・大阪地裁判決同様に判断。さらに、会社の代表(50)は男性との間に数千万円の金銭トラブルを抱え、男性側に返済を迫っていた▽男性に夜釣りの趣味はなく、出かける直前まで代表の知人の暴力団関係者らと一緒にいた――などと指摘。代表を含む複数人が故意に死亡させた可能性があると認定した。
捜査関係者によると、兵庫県警は男性に多額の保険金がかけられていたことを踏まえ、事件の疑いもあるとみて捜査している。県警は「捜査中であり、コメントできない」としている。