仙台地裁への提訴後の記者会見でこれまでの人生の苦難を涙ながらに語る原告の70代女性=2018年5月17日午前、仙台市青葉区、福留庸友撮影
旧優生保護法による強制不妊手術によって人生の選択肢を奪われた被害者は、長年苦しみ、誰にも打ち明けられずにいた。3人が17日、新たに提訴した。
東京都の男性は17日午前、都内で会見し、「人生を返してほしい。私と同じ思いをした人が全国にたくさんいる。事実を明らかにし、間違った手術だったと認めてほしい」と訴えた。
1月末、宮城県の60代の女性が提訴したことを報道で知り、「自分と同じ手術だ」と衝撃を受けた。心にしまい込んでいた苦しい思いがあふれ出た。数日後、弁護団の電話相談に被害を訴え出た。
男性は児童施設にいた中学2年の時、説明もなく手術された。術後、先輩から不妊手術だと聞かされた。5年前、妻が亡くなる数日前に病室で初めて打ち明けた。妻はただうなずいた。
手術痕が2カ所あり、医療機関で「不妊手術の痕」とされた。手術記録などは見つかっていないが、姉が当時、祖母から手術について聞いていたことがわかった。
法律は手術の対象を知的・精神障害がある者としていたが、男性に障害はない。弁護団は「『不良な子孫の出生を防止する』という法の目的が拡大解釈され、対象や手続きを厳選せずに運用していたのではないか」と指摘する。
宮城県内の原告の70代女性は…