国際テロ組織アルカイダの指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者が、パキスタンで米軍特殊部隊に殺害されてから、2日で5年となった。この間、アルカイダの存在感は薄れたものの、アルカイダ系組織を前身とする過激派組織「イスラム国」(IS)がシリアやイラクで勢力を伸ばしており、テロの脅威は依然としてなくなっていない。
オバマ米大統領は5年を機にCNNのインタビューで殺害を振り返り、「戦略的な重要性だけでなく、アメリカに危害を加えたら裁きが下るというメッセージになった」と成果を強調した。その一方で、ISの伸長などを踏まえて「(過激派の)イデオロギーは消えていない」とし、インターネットの発達によって過激思想が拡散していることに懸念を示した。
パリやブリュッセルで起きたテロにも触れ、「世界は依然として危険な状況が続いている。中東はあらゆる意味でより混沌(こんとん)とした状況にある」と語った。
ただ、問題解決に際して「10万人の部隊を送るのは逆効果だ。我々が戦っている(過激派の)イデオロギーを増幅させることにもなる」と指摘し、イラク戦争に突入したブッシュ前政権を暗に批判。「ビンラディンの作戦の時のような特殊部隊投入や、秘密情報の集積が脅威に対処する手段となるだろう」と語った。(ワシントン=杉山正)