ガイドラインが指摘する主な注意点
保育施設での重大な事故が後を絶たないなか、政府が対策に乗り出した。事故防止のガイドライン(指針)を初めてまとめ、事故を検証する態勢も整えた。ただ、政府は待機児童の解消策として、施設で受け入れる子どもの数を増やす方針を決定。保育士の負担増につながる方針に、現場からは不安の声も出ている。
昨年の保育施設事故399件、乳幼児14人死亡 内閣府
昨年中に保育施設で子どもが亡くなったと報告されたのは14人。全治30日以上の重大なけがも含めると、総数は399件に上った。死亡事故のうち10人は睡眠中で、このうち6人がうつぶせ状態だった。
こうした事故を防ぐため、政府は事故の教訓を生かした対策を進める。
3月末に自治体に通知した事故防止の指針では、事故が起こりやすい場面ごとに注意点をまとめた。睡眠中は医学的に必要な場合を除き、仰向けで寝かせると強調。安全確保のため、子どもの年齢別チェックリストの活用も促した。
重大な事故が起きた場合には、自治体に検証を義務づけた。その検証結果を分析する有識者会議を4月に設置。大学教授や保育事業者、保育事故の遺族ら14人がメンバーで、同じような背景の事故を繰り返さないよう提言をしてもらう。
政府は一方で、保育の現場への負担増も求めている。3月にまとめた待機児童解消の緊急対策に基づき、保育士の配置や子ども1人当たりの面積を国の基準より独自に手厚くしている自治体に対し、国の基準の範囲で規制を緩めることを要請。一人でも多く子どもを受け入れる狙いだが、保育士1人が受け持つ子どもが増えることになる。
4月25日にあった有識者会議の初会合では「事故を減らす取り組みをしているのに、基準を低くすれば事故のリスクは高まる」との懸念が示された。東京都内の認可保育所の保育士(49)は「国の最低基準は本当に最低の基準。子どもが1人増えるだけでも現場には大変で、目配りしにくくなる」と危機感を強める。
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