「EISCAT 3Dレーダー」のイメージ=国立極地研究所提供
地上約2千キロまでの高層大気や宇宙を北極圏から探る世界最大級のレーダー建設計画が、欧州と日本の協力で動き出す。オーロラや地球温暖化の研究とともに注目されるのは、人工衛星を太陽の活動や宇宙ゴミから守ることだ。2022年からの本格運用を目指している。
計画されているのは「EISCAT(欧州非干渉散乱=アイスキャット) 3Dレーダー」。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北極圏の5カ所それぞれに約1万本のアンテナをたて、超大型レーダーを構成する。太陽活動が地球大気へ及ぼす影響やオーロラが生まれる仕組みなどを観測する。日本はレーダーの心臓部にあたる送信機を担う方針で今年度、研究開発予算がついた。ノルウェー北部で今年、実証システムの建設が始まる。
現在運用中のEISCATは独仏英と北欧が1981年に稼働を始め、70~1500キロ上空の大気やオーロラを観測してきた。日本も96年に参加。国立極地研究所は300キロ上空の大気が30年間で約40度も冷えたことを明らかにした。