元ミス・トルコのモデル、メルベ・ビュユクサラチさん。2015年2月撮影=AP
トルコ・イスタンブールの裁判所は5月31日、元ミス・トルコのモデル、メルベ・ビュユクサラチさん(27)に対し、禁錮1年2カ月17日、執行猶予5年の判決を言い渡した。2014年に当時首相だったエルドアン大統領を批判する詩をソーシャルメディア上で共有したことが、「公務員をその業務を理由に公の場で侮辱した罪」にあたると判断した。
トルコでは、エルドアン氏に批判的な学者やジャーナリストの摘発が相次ぐ。今回の判決で、言論の自由に対する侵害として、国内外の人権団体からの批判がさらに強まりそうだ。
ビュユクサラチさんは06年のミス・トルコ。14年、エルドアン氏を批判する詩を写真共有サービス「インスタグラム」で共有した。詩は、トルコ国歌をもじって、エルドアン氏の強権ぶりや、トルコの一部メディアで報じられた同氏の金銭に絡む疑惑などを揶揄(やゆ)する内容だった。
地元メディアによると、公判でビュユクサラチさんは「詩はソーシャルメディアで96万回シェアされており、私もシェアした。侮辱する気はなかった」などと説明。無罪を主張した。
これに対し検察側は、詩は「エルドアン氏を公に侮辱し、批判の枠を超えた。表現の自由の範囲を逸脱している」と主張していた。(イスタンブール=春日芳晃)