ゴーカー・メディアCEOのニック・デントン氏=カリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデス、宮地ゆう撮影
元プロレスラーのハルク・ホーガンさんの報道に対する巨額賠償を命じられたニュースサイトの経営会社「ゴーカー・メディア」のニック・デントン最高経営責任者が3日、米カリフォルニア州で開かれたイベントに登場し、訴訟を陰で支える著名起業家を批判した。
ハルク・ホーガンさん賠償訴訟、著名起業家が資金提供
ハルク・ホーガン氏への賠償128億円判決 ビデオ流出
ホーガンさんは知人の女性との性行為が映ったビデオを公開したゴーカーを提訴。ゴーカーは裁判で1億4千万ドル(約150億円)の賠償を命じられ、控訴する方針を明らかにしている。この訴訟を巡り、5月25日、シリコンバレーの著名起業家ピーター・ティール氏がホーガンさんに資金提供をしていることが明るみに出た。金でメディアをつぶそうとしているとの批判も起きている。
背景にあるのは、2007年のゴーカーの報道と言われる。ゴーカーはネット決済企業ペイパル創業者のティール氏が同性愛者であると報じた。ティール氏は、報道への報復として、ホーガンさんに資金提供したとみられている。
オンラインメディア「リコード」のイベントに登壇したデントン氏は、「シリコンバレーの億万長者が陰で金を出して権力を行使している。彼らは下院議員より何千倍もの力があるのに、十分に目が届いていない」とティール氏を批判。「メディアの独立性を信じている」と強調した。一方で、「ときに一線を越えた報道はあった」と、プライバシーを暴く手法のやり過ぎも一部で認めた。
同じイベントに登壇したシリコンバレー企業トップからは、メディアをつぶそうとするティール氏の批判が続いた。アマゾンのジェフ・ベゾスCEOは「批判に耐えられないのなら、新しいことなどすべきでない」と語った。(カリフォルニア州ランチョ・パロス・ベルデス=宮地ゆう)