地域向けの情報を流すために設けられた「地域FM」の放送局が、インターネットを使って全国で聴けるサービスに音楽番組を配信しているのは日本レコード協会との契約に違反するかが争われた訴訟の判決が8日、東京地裁であった。嶋末和秀裁判長は「地域FMへの利用許諾の範囲外で、協会が契約更新を拒否したことは妥当」として、契約の継続を求めた全国29のFM局側の請求を棄却した。
判決によると、地域FM局が2011年、パソコンやスマートフォンで番組が聴けるサービス「リッスンラジオ」(リスラジ)への番組提供を開始。リスラジの運営会社は、各FM局が違う時間帯に流す音楽番組をまとめ、24時間音楽が聴けるチャンネルを設けた。
協会は、音楽CDなどの二次使用料を放送局から徴収しているが、地域FM局との間では、一般の放送局に比べて低額で契約を結んでいた。このチャンネルで流れる各番組について協会は、「地域の需要に応えるものではなく、地域FM局向けの利用許諾の範囲外だ」として、昨年2月に契約更新を拒否した。
判決は、「リスラジの運営会社が24時間音楽を流すために作った番組は、地域FM局の自主制作番組と言えず、許諾契約の範囲外だ」と判断した。(千葉雄高)