米国の中央銀行、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は15日、昨年12月以来となる追加利上げを4会合連続で見送った。参加者による「年2回」とする今年の利上げ見通しは維持したものの、来年、再来年の利上げ見通しは今年3月時点から引き下げ、より緩やかな利上げを見込んだ。
今回の声明では、5月の雇用統計で就業者数の伸びが急減速したことを受け、雇用環境は「減速した」と下方修正した一方、個人消費が改善していることなどから、経済活動は「上向いた」と上方修正した。
23日にある英国の欧州連合(EU)からの離脱を問う国民投票について、FRBのイエレン議長は会合後の記者会見で「今回の意思決定の要素の一つだった」と利上げ見送りに影響したことを示唆した上で、EU離脱となれば「世界の金融市場や米国の景気見通し、我々の政策にも影響を与えうる」と警告した。
FRBは昨年12月、景気が改善しているとして、約9年半ぶりの利上げに踏み切った。当初は「年4回」の利上げを想定していたが、その後の金融市場の混乱などから、今年1、3、4月の会合で利上げを見送っていた。(ワシントン=五十嵐大介)