川崎市の河川敷で昨年２月、中学１年の上村（うえむら）遼太さん（当時１３）が殺害された事件で、起訴された１８～１９歳の少年３人の一審判決が出そろった。横浜地裁の裁判員らは、それぞれの少年の成育歴や家庭環境に向き合い、不定期の実刑判決を言い渡した。犯行の残虐さの一方で、少年の未熟さも浮き彫りになった。

「加害者にも複雑な背景があると知り、ショックだった。社会で何とかしなければならない問題だ」「育成面で非常に問題があった。そこが一番大きい」。裁判員らは判決後の記者会見で、口々に振り返った。「少年法に守られているが、被告はかなり大人に近いと思う」「刑を重くすることが再発防止に効果的か、正直に言ってわからない」という発言もあった。

事件を主導した無職少年（１９）は、殺人罪などで懲役９年以上１３年以下の不定期刑が確定した。情状鑑定を担当した駒沢女子大の須藤明教授（犯罪心理学）は昨年８月、横浜拘置支所の面会室でこの少年と初めて対面した際、「かたくななまでに防衛的」という印象を持った。事件の経緯を尋ねても、出てくる言葉は最小限。気持ちや生い立ちを問われると、「関係ないでしょ」と口を閉ざした。

家裁調査官として、約３千人の少年と向き合ってきた須藤教授。この少年との面会で「大人への強烈な不信感と、過去のトラウマ」の存在を感じたという。