土砂に乗り上げ、脱線した列車を調べる関係者=23日午前2時1分、広島市安芸区、清水康志撮影
23日午前0時35分ごろ、広島市安芸区上瀬野町のJR山陽線で、岩国発白市行きの上り普通電車が走行中に土砂に乗り上げ、先頭車両が脱線した。JR西日本広島支社によると、けが人はいないが、乗客124人が2時間以上車内に取り残された。23日正午現在、山陽線は西条―瀬野間、呉線では三原―広間でいずれも上下とも運休となっており、ダイヤが大幅に乱れている。
JR西によると、運転士が線路内に流入する土砂に気づき、非常ブレーキをかけたが間に合わず、乗り上げたという。土砂は大雨の影響で流入したとみられる。取り残された乗客はJR西が用意したバスに乗り換え、同午前3時ごろに降車予定の駅へと向かった。
乗客の会社員男性(50)は「急に『ガタガタ』と大きな音がして止まった。乗っていた2両目のガラスが割れて驚いた」と疲れた表情。別の会社員男性(24)は「地震みたいな感じで揺れ、10秒くらいたって停止したが何が起こったかわからなかった」と話した。
事故現場では流出した土砂が約8メートルにわたって線路上を覆っていた。JR西の作業員らが脱線した車両をジャッキで持ち上げ、レールに戻す作業をした。JR西によると、国土交通省の運輸安全委員会の事故調査官も到着し、事故の状況を調べる。
JR広島駅では23日朝、電光掲示板などで運休を告知し、駅員らが対応に追われた。駅で運休を知った男性会社員(61)は「電車が動かず帰るしかないが、災害だから……」と話した。男子高校生(16)は「学校に間に合わない」と遅延証明書を取って、広島電鉄の路面電車の駅へ向かった。