衣装を着て練習する北村幸乃さん(右)=2日、熊本県益城町木山
熊本地震で大きな被害を受けた熊本県益城町の子どもたちを元気づけようと結成された劇団「ましきっずプレイヤーず」が11日、旗揚げ公演を迎える。演じるのは、子どもたちが紡いだ夢の船旅の物語。約1年間、練習を重ねてきた小学4年から中学2年の男女18人が、成長した姿を披露する。
劇団は、県内の劇団員やダンサーらの呼びかけで昨年2月に結成。町文化会館で月2回ほど集まって練習してきた。旗揚げ公演の演目「The dream ahead of…」は、立ち上げ人の一人で脚本・演出担当の松本真奈美さん(55)が、子どもたちの意見をまとめてつくったオリジナル作品。好きなものは何でも食べられる夢の豪華客船ドリーム号に、子どもたちが演じるお姫様や動物が乗り込み、座礁の危機を乗り越えていく物語だ。
一人ひとりが「主役」になれるようにと、主役は置かない。松本さんは「この年代の子どもは地震の時に親に気をつかって甘えられなかった。演劇を通じて自分を表現できるようになってほしい」と言う。
益城中2年の尾方暁(あき)さん(14)が演じるのは、密航者として客船に乗り込む中学生のユウカ。「元気が良くて、しっかり言うタイプ。前の自分じゃなくて、今の自分に似てる」
一昨年4月の地震で自宅は全壊し、家族と「みなし仮設」のアパートに移った。一緒に暮らしていた大好きな祖母、慶子さん(67)は仮設住宅で一人暮らしを始め、自宅の片付けで疲れ切った様子だった。暁さんは、外に出るのも、がれきに触るのも嫌で、手伝えなかった。「元気にしたいな。何かできないかな」と悩んでいるとき、学校で劇団員の募集を知った。
はじめは演じるのが恥ずかしか…