打ち上げを控え、チェックを受けるため宇宙服に着替えた大西卓哉飛行士=7日午前3時38分、カザフスタン・バイコヌール宇宙基地、鬼室黎撮影
大西卓哉宇宙飛行士(40)らが搭乗したロシアのソユーズ宇宙船が7日午前7時36分(日本時間午前10時36分)、カザフスタンのバイコヌール宇宙基地から打ち上げられた。大西さんは国際宇宙ステーション(ISS)に約4カ月滞在し、科学実験などにあたる。日本人がISSに長期滞在するのは6人目で計7回目になる。
ANA副操縦士時代の写真も 大西宇宙飛行士のまとめ記事はこちら
特集:もっと!ロケット
強い光と爆音とともに上昇したソユーズは、打ち上げ約9分後に高度約200キロに到達。ロケットから分離し、打ち上げは成功した。打ち上げ成功が確認されると、大西さんは同乗するロシアのアナトーリ・イバニシン船長(47)や米のキャスリーン・ルビンズ宇宙飛行士(37)と船内で手をたたき合うなど、喜びをわかちあっていた。
約400キロ上空のISSへのドッキングは、約50時間後の日本時間9日午後1時すぎの予定。昨年7月にあった油井亀美也さんの打ち上げでは、ドッキングまで約6時間だったが、今回のソユーズは新型機で、地球を34周する間に性能を確認するという。
大西さんが宇宙に行くのは初めて。全日空の副操縦士出身で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が10年ぶりに行った選抜試験で2009年に選ばれた。当初は6月24日に打ち上げ予定だったが、新型ソユーズの追加試験のため約2週間延期されていた。帰還は10月末になる予定。
大西さんは打ち上げ前に基地内の建物で宇宙服に着替えた後、ガラス越しに家族と面会。「パパ、宇宙楽しみ?」と聞く長女(6)に「楽しみ」と笑顔で答える場面もあった。
滞在中は、マウスの飼育や高品質のたんぱく質の合成など約20の実験や観測が予定されている。今秋には日本の無人補給機「こうのとり」がISS用に日本製のリチウムイオン電池などの物資を届ける計画がある。大西さんがロボットアームを操作し、こうのとりを確保する可能性もある。(バイコヌール=香取啓介)