米テキサス州ダラスで射殺された警察官たちの追悼式で、手をつなぐオバマ大統領、ミシェル・オバマさん、ブッシュ前大統領、ローラ・ブッシュさん、バイデン副大統領(前列右から)=AP
オバマ米大統領は12日、テキサス州ダラスで射殺された5人の警察官の追悼式に出席し、「悲しみを通じて、より良い国になれると信じている」と語った。黒人男性が警察官に射殺される事件も相次ぐなか、オバマ氏は米国民がお互いに理解することの大切さも説き、「我々は、見えるほどに対立していないと強調したい」と訴えた。
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追悼式にはミシェル・オバマ大統領夫人、ブッシュ前大統領夫妻やバイデン副大統領夫妻らも出席。現在はダラスに住むブッシュ氏も「我々を結びつける力よりも、引き離す力の方が強いと感じる時もある」としたうえで、「結束を取り戻すためには、我々の価値観を思い出すだけで十分だ」と米国内の協調を求めた。普段はオバマ氏に批判的な、テキサス州選出のクルーズ上院議員(共和党)もワシントンから大統領専用機で一緒に移動し、壇上に並んだ。
オバマ氏はあいさつで、警察官への狙撃が「人種への憎悪の行動」だったと述べ、「我々の民主主義の最も深い断層が現れたかのようだ」と表現。殉職した警察官たちに敬意を示すと同時に、別の州で警察官に射殺された黒人男性の名前も挙げ、米国内に人種差別が残る現状にも触れた。
また、「任期中に、あまりにも多くの追悼式で話してきた」「自分の言葉がいかに不十分であるかを見てきた」と、自身も疑いを経験していると認めながらも、「心を開けば、互いの目を通して世界が見えるようになる」と指摘。「我々の怒りは、より多くの正義と平和に変えられると信じている」とも述べた。(ニューヨーク=中井大助)