会見する日本大学病院の長岡正宏病院長(中央)ら=東京都千代田区
日本大学病院(東京都千代田区)は24日、手術の麻酔に使う筋弛緩(しかん)剤3本を紛失したと発表した。成人9人の致死量にあたるという。盗難の可能性もあるとして、警視庁神田署に届け出た。
病院によると、紛失した筋弛緩剤は「エスラックス50ミリグラム」。21日の手術に使うため、19日午後2時ごろに看護師が薬剤部から受け取った患者11人分の計55本を、手術の準備室にある鍵付き薬品用冷蔵庫に保管。21日午前9時半に麻酔科医が冷蔵庫を開けたところ、担当患者分の3本がないことに気付いたという。
冷蔵庫は常に施錠され、鍵は麻酔科医用と看護師用が1本ずつあった。保管から紛失発覚までに麻酔科医7人、看護師9人が鍵を扱える立場にいた。過って廃棄した可能性もあるという。
病院は、筋弛緩剤は手術当日に薬剤部から受け取るように改め、薬品冷蔵庫専用の防犯カメラの設置を検討しているという。東京都にも紛失を報告し、22日に都の立ち入り検査を受けた。
筋弛緩剤の紛失は今月、日本医科大学千葉北総病院でも発覚した。厚生労働省の担当者は「医療機関の安全を揺るがす事案が相次ぎ、誠に遺憾。各医療機関は薬の安全管理を徹底してほしい」と話している。