陸上自衛隊員の佐々木清和さん（４９）＝山形県東根市＝は９日、一人娘の和海さんのため、ネイビーの縦じまのスーツを買った。今月２２日が誕生日。生きていれば、はたちになる。

和海さんは２０１１年３月１１日、自宅のあった宮城県名取市閖上で、妻りつ子さん（当時４２）、その両親とともに津波にのまれた。中学２年の１４歳。どれだけ大人になったのか、思い浮かべようとしても、浮かばない。あのときのままの身長で、服を探した。

あれから、ひとりになった佐々木さんの時間だけが過ぎた。２年前には、山形に転勤になった。

今年４月、第６師団の一員として、熊本地震の被災地救援に赴いた。震災の後、初めての災害派遣。５年前に見た多くの遺体のことが頭をよぎり、気が重かった。行方不明者捜索に携わることはなかったが、張り詰めた２週間を過ごし、５月２日、戻ってきた。

その日夕方、官舎４階のベラン…