男児に対する傷害致死罪に問われ、一審の裁判員裁判で無罪判決を受けた元少年の会社員(23)=北九州市門司区=の差し戻し審判決が15日、福岡地裁であった。新たに選ばれた裁判員が審理し、松藤和博裁判長は「(致命傷は)被告が故意に暴行を加えたことで生じたと認められる」として、懲役5年(求刑懲役8年)を言い渡した。弁護側は控訴を検討している。
判決によると、会社員は2012年3月6日深夜から7日未明、当時交際していた女性の長男(当時2)を北九州市小倉北区の女性宅で暴行し、十二指腸破裂による循環不全で同日死亡させた。
会社員は捜査段階から否認し、故意に暴行を加えたかどうかや、事件が起きた時間帯などが争点になっていた。判決は「右側腹部に暴行を加えた」との検察側の主張を認める一方、量刑について「突発的・衝動的な犯行と考えざるを得ず、当時少年だったことなどを考慮した」と説明した。
地裁小倉支部で13年2月にあった一審の裁判員裁判では、暴行があったとされる時間帯に十二指腸破裂が生じていたと認めるには「合理的な疑いが残る」として無罪を言い渡し、検察側が控訴。14年2月の福岡高裁判決は、一審判決に「事実誤認がある」として破棄・差し戻し判決を下した。会社員側は上告したが最高裁が棄却していた。(張守男)