13日午後、ソウル中央地裁に向かう辛東彬被告(東亜日報提供)
韓国前大統領の朴槿恵(パククネ)被告と韓国の財閥グループを巡る贈収賄事件で、ソウル中央地裁は13日、朴被告と共謀してサムスングループなどに賄賂を強要したとして、朴被告の支援者のチェ・スンシル被告に懲役20年と罰金180億ウォン(約18億円)、追徴金約73億ウォン(約7億円)の実刑判決を言い渡した。また、同地裁では贈賄側の韓国ロッテグループ会長の辛東彬(シンドンビン〈日本名・重光昭夫〉)被告への判決公判もあり、朴前大統領側に70億ウォン(約7億円)の賄賂を一時的に贈ったとして、懲役2年6カ月と追徴金70億ウォンの実刑判決を言い渡した。辛被告は判決後、収監された。
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チェ被告に対する判決は、チェ被告がサムスングループから同被告の娘の乗馬競技支援として72億ウォン相当の利益を得たほか、ロッテグループからも自らが関与する財団への支援として70億ウォンの賄賂を一時受け取ったなどとした。
同地裁は報道資料で、チェ被告について「国政秩序を大きな混乱に陥れ、憲政史上初の弾劾(だんがい)による大統領罷免(ひめん)という事態まで引き起こした」と批判。朴被告についても「憲法上の責務を放棄し、国民から与えられた地位と権限を私人に分け与えた」と指摘した。
一方、辛被告について同地裁は、「贈賄を選ぶ誘惑から逃れられず、社会の価値観を大きく傷つけた」と批判した。
辛被告は日本のロッテホールディングス(HD)の副会長も務める。判決についてロッテHDは13日、「実刑判決を大変重く受け止めている」とのコメントを出した。韓国ロッテグループは判決後、「国民に約束したホテルロッテの株式上場や雇用拡大など山積した課題への悪影響を懸念する」などとするコメントを発表。辛被告は韓国スキー協会長を務めており、同グループは「首席副会長を中心に支援していく」とした。(ソウル=牧野愛博)